決済と決済システムを理解するためのキーポイント《基礎編》テーマ8.決済の工夫
- この章のキーワード:
- 「クリアリング・システム」、「セトルメント・システム」、「おかねの決済」、「おかね以外のものの決済」、「決済システムの安全性」
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決済システムというもの
「決済システム」とは、狭義には、「クリアリング・システム」と「セトルメント・システム」からなる仕組みを意味します(「クリアリング」と「セトルメント」については、 こちら をご覧下さい)。
証券や外国のおかねの決済システムと「取りはぐれ」防止のための仕組み
ところで、銀行同士の決済には、おかねに関する決済のほかに、おかね以外のもの――「外国のおかね」や債券や株式などの「証券」――に関する決済があります。しかし、おかね以外のものに関する決済の場合でも、その対価としておかねが受け渡しされるのですから、結局、「おかねに関する決済」と「おかね以外のものに関する決済」は相互に結びついているのです。
決済システムが全体として滞りなく機能するためには、これらの結びつきが問題なく行われるようにうまく工夫することが大切です。それは、例えば証券を渡したのに取引の相手が倒産してしまって、代金を払ってもらえないとか、円を支払ったのにドルを払ってくれない等の「取りはぐれ」を防止するための仕組みです。そうした仕組みとしてDVP(Delivery vs. Payment。証券の受渡しとおかねの受渡しを突合わせること)やPVP(Payment vs. Payment。おかねと外国のおかねの受渡しを突合わせること)といったものがあります。これらは、異なる種類の決済システムを結びつけて、証券や外国のおかねの決済ができないときは、おかねの決済を止める、という工夫です。
システムとシステムの結びつき
このように、いろいろな決済システムが互いに結びつくようになると、どちらかの決済システムで発生した決済不能が、もう一方の決済システムでも連鎖的に決済不能を引き起こしてしまうという問題が起こります。そのため、各決済システムで、決済が予定されていたとおり完了するように、RTGSの仕組みを導入したり、ネット決済の場合でも日中に何度もファイナリティのある決済を行うことなど、安全な決済システムにしておくことがますます重要になるのです。