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国債決済RTGS化に関する要件の一部変更について

1999年 5月11日
日本銀行

1.はじめに

 日本銀行は平成10年9月4日、『国債決済の「RTGS化」の枠組みについて』を公表し、その中で、国債決済のRTGS化(原則として一般処理を廃止し、優先処理に統一すること)について、日本銀行当座預金決済のRTGS化と同様に平成12年(=西暦2000年)末までに実現するとの方針、およびその基本的な要件をお示ししました 1

 その後、本年3月に公布された租税特別措置法とその関連政省令の改正により、国債利子課税制度が一部変更され、国債利子に対する所得税の源泉徴収免除・不適用の措置が一括登録国債(以下「振決国債」)にのみ認められることとなりました。当該税制の変更は、国債の保有・決済のあり方に大きな変化をもたらすものと予想されます。

 日本銀行では、こうした変化を織込んで、国債決済RTGS化の要件を一部変更することを提案し、これに対する市中のご意見を求めることにより、国債決済RTGS化の内容を適切なものに見直していくことが適当と判断するに至りました。

 以下では、国債利子課税制度の改正の概要、およびこの税制改正が国債の保有・決済に及ぼしうる影響についてご説明したうえで、RTGS化の要件の一部変更について具体的な提案を行うこととします。

  1. 本年1月に、国債決済RTGS化対応の具体的内容等を取纏めた資料(『日銀ネット国債系システムにおけるRTGS化対応の具体的内容および日銀ネット国債系システムの運行について』)を、日銀ネット国債系オンライン利用先等に配布しました(公表は本年2月)。

2.国債利子課税制度の一部改正の概要と影響

 平成11年3月に租税特別措置法およびその施行令・施行規則の改正が公布され、国債利子課税制度の一部改正が決定されました。そのポイントは以下の2点となっています。

  1. (1)非居住者または外国法人(以下「非居住者等」)が保有する振決国債の利子で、その計算期間が平成11年9月1日以降開始するものについては、租税特別措置法に定める一定の要件2を満たしていることを条件に、所得税の源泉徴収を免除すること。
  2. (2)租税特別措置法第8条第1項に規定する金融機関および同条第2項に規定する証券業者等(以下「指定金融機関等」)が保有する個別登録国債(以下「登録国債」)の利子で、その計算期間が平成13年1月1日以降開始するものについては、所得税の源泉徴収不適用を廃止すること。

 こうした国債利子課税制度の一部改正により、非居住者等は、平成11年9月1日以降に利子計算期間が開始する国債については、利子にかかる所得税の源泉徴収の免除を受けるために、振決国債の保有を選好することが予想されます。また、指定金融機関等は、平成13年1月1日以降利子計算期間が開始する国債について、利子にかかる所得税の源泉徴収の不適用措置を受けるべく、保有する登録国債を順次振決国債に変換していくことが見込まれるところです。従って、今後は、国債の保有形態が登録国債から振決国債に相当程度シフトし、遅くとも平成13年6月以降は、国債の大半が振決国債で保有・決済されるようになるものと予想されます。

  1. 2租税特別措置法第5条の2では、非居住者等が振決国債利子について所得税の源泉徴収免除を受けるための要件を規定している。具体的には、(1)非居住者等の氏名、住所その他大蔵省令で定める事項を記載した非課税適用申告書を受寄金融機関等を通じて所轄の税務署長に提出していること、(2)利子支払日の前日までに、所有期間その他大蔵省令で定める事項を記載した所有期間明細書を受寄金融機関等を通じて所轄の税務署長に提出していること、の2点である。

3.国債決済RTGS化要件の一部変更についての提案

 日本銀行では、上記のように市中における国債の保有・決済のあり方が今後大きく変化すると考えられることから、『国債決済の「RTGS化」の枠組みについて』に記載した国債決済RTGS化の要件の一部を変更することが適当と考えました。

 今回日本銀行が提案する国債決済RTGS化の要件の変更内容は、以下のとおりです。

  1. (1)登録国債については国債DVP同時担保受払機能を提供しないこと3
  2. (2)預り口に寄託している振決国債を対象とするDVP決済を、平成12年末(=2000年末)のRTGS化実現前の段階で極力早期に導入すること4。なおこの場合、日銀ネット国債系オンライン利用先の間で、当該振決国債の受払人の確認作業等が円滑に行えるように、入力画面に記事欄を設けること。

 日本銀行では、上記要件変更の是非を判断するに当って、当座預金取引先および日銀ネット国債系オンライン利用先等(以下「当座預金取引先等」)からご意見を賜りたいと考えています。その手続は以下のとおりとします。

  1. (1)ご意見は、適宜の形式で日本語の書面に纏めたうえで、平成11年5月31日(月)までに、書留で下記あてにご郵送下さい。
    送付先:郵便番号103-8660 東京都中央区日本橋本石町2-1-1
    日本銀行信用機構室決済システム課
  2. (2)日本銀行では、頂戴したご意見、および主なご意見についての検討結果を記したペーパーを当座預金取引先等に配布するほか、一般にも公表する予定です。

  1. 3『国債決済の「RTGS化」の枠組みについて』(4頁)では、登録国債、振決国債の種類を問わず国債DVP同時担保受払機能を手当する方針としていた。
  2. 4『国債決済の「RTGS化」の枠組みについて』(7頁)では、預り口DVPの導入時期の目途を2000年末までのRTGS化実現と同時とするとしていた。

以上