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信用判定制度の見直しおよび証書貸付債権の担保受入手続等の簡素化について

2006年 3月20日
日本銀行金融市場局

 日本銀行は、「民間企業債務の担保利便性の向上等について」(2005年12月16日付)でお知らせしたとおり、取引先金融機関が日本銀行との諸取引において民間企業債務を担保として利用しやすくするための取り組みを行っています(注)。今般、その一環として、以下の措置を2006年4月3日から実施することとしました。

1.信用判定制度の見直し

 信用判定制度(注)を以下のとおり見直します。

  • (注)日本銀行は、オペレーション等による信用供与の担保として取引先金融機関から民間企業債務を受け入れていますが、信用判定はその前提として行う債務者(企業)の信用度の審査手続です。
  1. (1)外部格付を取得している企業(債務者)については、原則として外部格付に基づいて信用判定を行う。
  2. (2)そのうえで、A格相当以上は原則として公開情報のみに基づき、簡便かつ迅速に信用判定を行い、特段の事情がない限り適格とする。一方、BB格相当以下は不適格とし、審査をより効率化・迅速化する(具体的な外部格付の要件は別紙)。
    これ以外の外部格付を取得している企業や無格付企業の審査は従来通りです。
  3. (3)外部格付、その他の市場情報を活用し、よりタイムリーに企業の信用力変化を信用判定に反映させていく。

上記の見直しは、適格とする企業に求める信用力の水準自体を変えるものではありませんが、外部格付のある企業についてはそれをなるべく活用していくことを通じて、取引先金融機関等の手続上の負担を軽減すること、適格・不適格の予見性を高めることに役立つものと考えています。

2.証書貸付債権の担保受入手続等の簡素化

 シンジケート・ローンを含む証書貸付債権について、担保受入時に取引先金融機関等に求めている提出書類の削減や手続の簡素化等を行います。

 具体的な内容は、担保受入れにあたり、(1)先行する譲渡等の登記がないことの証明書(登記事項証明書等(注))の提出を免除可能にすること、(2)シンジケート・ローンの債務者(借入人)の異議なき承諾書を当該債務者あての通知書により代替可能にすること、また、(3)シンジケート・ローンに係る担保権実行にあたっては、原則として貸付人の地位を承継する扱いとすること等です。

  • (注)「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」に定める登記事項証明書等(いわゆる「ないこと証明書」)。

 こうした手続の簡素化等により、取引先金融機関等の担保差入れに係る負担が軽減され、証書貸付債権が担保としてより利用しやすくなるものと考えています。

 日本銀行としては、今後とも取引先金融機関や市場関係者の御意見も参考にしつつ、これらの制度や手続の改善に取り組んで参ります。

以上

本件照会先

上記1.関係

石井(03-3277-1236)
下田(03-3277-1299)

上記2.関係

坂本(03-3277-1302)
上條(03-3277-1246)
堀本(03-3277-1242)


(別紙)

信用判定制度の見直しの概要

 外部格付を取得している企業については、原則として、外部格付に基づいて信用判定を行うこととします。具体的な内容は以下のとおりです。

1.A格相当以上(長期)またはa-1格相当以上(短期)の格付を取得している企業

 以下の要件を満たす企業は、原則として公開情報のみに基づき、簡便かつ迅速に信用判定を行い(これを「迅速審査」と呼びます)、特段の事情がない限り適格とします。

  1. (1)上場・店頭登録企業であること。
  2. (2)日本銀行が適当と認める格付機関から、A格相当以上(長期)またはa-1格相当以上(短期)の格付を1つ以上取得していること。ただし、複数の格付を取得している場合には、その最低のものがBBB格相当以上(長期)またはa-2格相当以上(短期)であること。

 今回、「迅速審査」の要件を上述のとおり見直すことにより、対象となり得る企業の数は大幅に拡大することになります。

(参考)「迅速審査」の現行要件

  1. (1)上場・店頭登録企業であること。
  2. (2)公表決算情報に基づく定量分析により、財務内容が良好であると日本銀行が認めること。
  3. (3)日本銀行が適当と認める複数の格付機関から格付を取得しており、その最低のものがA格相当以上(長期)またはa-1格相当以上(短期)であること。

2.BB格相当以下(長期)またはa-3格相当以下(短期)の格付しか取得していない企業

 日本銀行が適当と認める格付機関から格付を取得しており、それらがすべてBB格相当以下(長期)またはa-3格相当以下(短期)である企業は、不適格とします。BBB格相当以上またはa-2格相当以上を一つでも取得している場合は、自動的に不適格とはならず、下記3.の通常審査の対象とします。

3.上記1.と2.以外の有格付企業および無格付企業

 これまでと同様、財務諸表その他諸資料やヒアリングも踏まえて信用判定を行います(これを「通常審査」と呼びます)。

以上