直接投資データの計上原則について
2021年6月
国際収支関連統計において、直接投資のデータは資産負債原則または親子関係原則に基づいて作成しています。各統計に用いる計上原則は以下の通りです。
統計 | 計上原則 | 概要 |
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資産負債原則 (Asset and Liability Principle) |
本邦から海外への投資を「資産」(対外投資)、海外から本邦への投資を「負債」(対内投資)とする。 直接投資収益の場合、海外から本邦への配当金等を「受取」に、本邦から海外への配当金等を「支払」に計上する。 |
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親子関係原則 (Directional Principle) |
親会社の居住地を軸として捉えたもので、本邦親会社の海外関連会社への投資を「対外投資」、海外親会社の本邦関連会社への投資を「対内投資」とする。 例えば、海外関連会社から本邦親会社への投資は、対内投資ではなく、対外の負の投資(親会社による投資の回収)とみなして計上する。 |
- (注)直接投資・証券投資残高地域別統計(資産)(全地域ベース)のデータは、財務省ウェブサイト(外部サイトへのリンク)に掲載されています。
資産負債原則では資産負債の総額を表示し、親子関係原則では「関連会社から親会社への投資(負の投資)」を「親会社から関連会社への投資」から差し引いて表示します。両原則の計上方法の違いについて、負債性資本(貸付・借入)の具体例で説明します。
本邦親会社が海外関連会社A、Bに対してそれぞれ100の貸付と10の借入を行った場合を例にとります。
資産負債原則では、貸付100を資産、借入10を負債にそれぞれ計上します。一方、親子関係原則では、貸付100を対外投資に計上したうえで、借入10を対外の負の投資、すなわち、親会社による投資の回収とみなして計上し、その結果、対外投資が90となります(なお、地域別にみると、Aの所在国への対外投資が100、Bの所在国に対する対外投資がマイナス10となります)。どちらの原則でも、直接投資のネットは90となります。