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気候関連リスク分析のためのシナリオ作成
―統合評価モデルの応用と課題―

2023年12月21日
竹山梓*1
松井祐依*2
南井敬晶*3

要旨

気候関連リスクは、ヒストリカルデータに基づく従来型のリスク計測・管理手法が適用できないため、シナリオ分析による計測と管理が有効であるとの見方が有力となっている。もっとも、気候変動及び気候変動対策の経済活動へのモデル化については多様なアプローチがあり、これらを集約してシナリオを作成する作業は金融機関が従来実施してきたストレステストにおけるシナリオ作成とは大きく異なる点が多数ある。本稿では、多くの気候関連リスクのシナリオ分析においてシナリオ作成で活用されている統合評価モデル(Integrated Assessment Models:IAMs)の概観を通じて、気候関連リスクの定量的評価のためのシナリオ作成にかかる論点やすでに提案されているシナリオの含意についてまとめていく。

JEL 分類番号
H23、O44、Q54
キーワード
統合評価モデル、気候関連リスク、シナリオ分析

本稿の作成にあたっては、岡川梓氏、山口臨太郎氏、増井利彦氏、高橋潔氏、岡和孝氏、高倉潤也氏、一上響氏、筒井純一氏、富田基史氏、口野智広氏、今井亮介氏、稲村晃希氏、宮原亜季氏、宮本孝男氏、朝倉利恵氏、小川和彦氏、フランス銀行でのセミナー参加者、欧州中央銀行でのセミナー参加者から有益なコメントを頂戴した。さらに、高口博英氏、峯岸誠氏、西崎健司氏、種村知樹氏、吉村研太郎氏、平形尚久氏、須藤直氏、仲智美氏、松村浩平氏、平尾碧菜氏、杉萌氏をはじめとする日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。また、大河内有香氏、渡辺飛鳥氏、西野璃美氏から論文作成にあたり支援を頂いた。ここに記して感謝したい。ただし、残された誤りは筆者たちに帰する。なお、本稿の内容や意見は、筆者たち個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行金融機構局 E-mail : azusa.takeyama@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融機構局(現・国際通貨基金) E-mail : ymatsui@imf.org
  3. *3日本銀行金融機構局(現・総務人事局) E-mail : takaaki.minamii@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
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