このページの本文へ移動

動学的確率的一般均衡モデルを用いた炭素税の波及分析

2023年2月17日
松村浩平*1
仲智美*2
須藤直*3

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

温室効果ガス排出を抑制する手段として、炭素税への関心が高まっている。炭素税の影響を把握するためには、業種間の生産構造における相互依存関係・異時点間の代替効果の両方を考慮に入れる必要があるが、経済の詳細な構造と経済主体の動学的な意思決定の双方を取り込んだ既存のモデルは少ない。このギャップを埋めるため、本稿では、中間財と資本財の生産段階における生産連関を組み込んだニューケインジアン型の動学的確率的一般均衡モデルを構築し、炭素税が日本の業種別付加価値、GDP、温室効果ガス排出量に与える影響を分析した。長期的な影響について、モデルの定常状態に着目して分析したほか、2020年から2050年という短中期の影響について、炭素税の時間的な変化や構成、そのアナウンスメント時点について異なったシナリオを置きつつ、シミュレーションを行った。分析の結果、生産と温室効果ガスのトレード・オフにおいて、業種間の生産連関や家計や企業の異時点間の意思決定の重要性が示された。

キーワード
炭素税、気候変動、移行リスク、産業連関

JEL 分類番号
D57, E22, H23, Q54
  1. *1日本銀行金融機構局 E-mail : kouhei.matsumura@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融機構局 E-mail : tomomi.naka@boj.or.jp
  3. *3日本銀行金融機構局(現・日本銀行金融研究所) E-mail : nao.sudou@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局(post.prd8@boj.or.jp)までご相談下さい。転載・複製を行う場合は、出所を明記して下さい。