このページの本文へ移動

株主構成の変化が地域銀行の経営に与える影響

2018年7月27日
北村冨行*1
小島早都子*2

要旨

本稿では、2010年度から2016年度の上場地域銀行を対象に、外国機関投資家の株主としてのプレゼンス拡大が銀行経営に及ぼす影響について、収益力と株主還元策(配当支払いおよび自己株買い)という二つの観点から分析する。分析結果によると、近年の外国機関投資家比率(株主に占める外国機関投資家の割合)の上昇は、収益力に対しては、これまでのところ明確な影響を及ぼしていることが確認できない。一方、株主還元策に対しては、具体的に以下の二つの方向で影響を及ぼしている可能性がある。第一に、外国機関投資家比率の上昇は、地域銀行に配当支払いの積極化を促す方向に作用している。第二に、外国機関投資家比率の上昇は、地域銀行に自己株買いの積極化を促す方向にも作用している。このように、銀行株主における近年の外国機関投資家のプレゼンス拡大は、地域銀行に積極的な株主還元を促す方向に作用しているとみられる。

JEL分類番号
G21、G32、G34、G35

キーワード
地域銀行、外国機関投資家、コーポレート・ガバナンス、収益力、株主還元策、配当、自己株買い

本稿の作成過程では、川本卓司氏、木村武氏、小牧義弘氏および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。また、有賀涼氏、小山優子氏、山縣広晃氏からは、データセットの整備など様々なご助力を頂いた。記して感謝の意を表したい。もちろん、本稿のあり得べき誤りは筆者ら個人に属する。また、本稿に示される内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行および日本銀行金融機構局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行金融機構局(現・企画局) E-mail : tomiyuki.kitamura@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融機構局 E-mail : satoko.kojima@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局(post.prd8@boj.or.jp)までご相談下さい。
転載・複製を行う場合は、出所を明記して下さい。