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エネルギー価格変動の生産性への影響:

論点整理と計測

2009年11月
小川佳也*1
長田充弘*2
菅山靖史*3
福永一郎*4

要旨

 本稿では、エネルギー資源価格の変動が、やや長い目でみた世界経済の成長経路とどのように関係し、日本のような資源輸入国の生産性にどのような影響を与えるかについて、基本的な考え方を整理する。そのうえで、2008年末までの日本経済におけるエネルギー節約的な技術進歩について計測したFukunaga and Osada [2009] の推計結果を紹介する。エネルギー価格変動の長期的な生産性への影響は、技術進歩の傾向や度合いによって決まってくると考えられるが、上記の推計では、2000年代のエネルギー価格の上昇を受けて、日本企業がエネルギー節約的技術進歩に転換したとの結果は得られていない。また、エネルギー使用的技術進歩が続くもとでのエネルギー価格の上昇が、TFPの伸びの鈍化に寄与していたことがわかった。

本稿の作成に当たっては、一上響、亀田制作、塩路悦朗、白塚重典、関根敏隆、前田栄治、門間一夫をはじめとする日本銀行の関係諸氏から有益なコメントや議論の機会を頂いた。ここに記して感謝したい。ただし、本稿に示されている意見は、筆者たち個人に属し、日本銀行の公式見解を示すものではない。また、ありうべき誤りはすべて筆者たち個人に属する。

  1. *1調査統計局経済分析担当(E-mail: yoshiya.ogawa@boj.or.jp)
  2. *2調査統計局経済分析担当(E-mail: mitsuhiro.osada@boj.or.jp)
  3. *3調査統計局景気動向担当(E-mail: yasushi.sugayama@boj.or.jp)
  4. *4調査統計局マクロモデル担当兼経済分析担当(E-mail: ichirou.fukunaga@boj.or.jp)

日本銀行から

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