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Vector Error Correction Modelを用いた物価の決定メカニズムに関する実証分析

1998年11月
田中英敬
木村武

日本銀行から

日本銀行調査統計局ワーキングペーパーシリーズは、調査統計局スタッフおよび外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行あるいは調査統計局の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、論文の執筆者までお寄せ下さい。

以下には、(要旨)を掲載しています。

要旨

本稿では、物価と賃金は共和分の関係にあることを示した上で、両変数に関するVector Error Correction Model(VECM)を推計し、両者間に両方向の因果性が存在することを示す。さらに、VECMのre-parametarisationを行い、自然失業率仮説とVECMの関係を明らかにした上で、

  1. (1)インフレ率を加速も減速もさせないNAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment)に対応するGDPギャップが存在する、
  2. (2)経済がNAIRUに位置する場合には、物価と賃金の誤差修正項はゼロになり、インフレ率、賃金率ともに安定する、
  3. (3)インフレ率はGDPギャップの変化幅にも依存するというスピード・リミット効果が存在する、ことを示す。