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中国の不動産市場を巡る動向

2023年8月31日

国際局 阿由葉舞*、川上淳史**、神保真宏***、松永美幸、平田渉
*現・青森支店
**現・金融機構局
***現・調査統計局

要旨

中国の不動産市場は、長らく好況を続けてきたが、足もとは調整局面にある。今次局面における調整のきっかけは、不動産市場の債務問題に対応して中央政府が2020年以降に導入した新たな規制である。企業がデレバレッジを進める過程において投資が抑制されるとともに、家計の購入意欲が低下し、住宅需要の減退にもつながった。人口減少が進んでいる中堅規模以下の都市では住宅価格の下落が顕著であり、これら都市で過去に投機需要に期待した住宅開発が増加してきたことが今次局面の調整圧力への対応を難しいものとしているように窺える。先行きを展望すると、不動産市場が調整局面からはっきりと脱していくには、不動産企業の債務抑制と経済成長を両立しつつ、都市レベルの不動産需給を如何にして調和させていくかが重要であり、今後の政府による対応策に注目していく必要があると考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行国際局国際調査課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。