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国際収支統計からみたサービス取引のグローバル化

2023年8月10日

国際局 松瀬澪奈、齋藤誠、森下謙太郎

要旨

国際収支統計のサービス収支は、サービス取引のグローバル化を背景に受取・支払とも増加している。取引の特性に従って内訳をみると、モノの移動や生産活動に関するサービス収支は、製造業の世界的な生産体制の見直しに合わせて内容が変化している。また、ヒトの移動や現地での消費に関連するサービス収支は、インバウンド需要を背景に近年黒字基調にある。一方、デジタルや金融・保険に関連するサービス収支は、それぞれデジタル化の進展や再保険を利用した保険商品の増加により海外企業への支払が増加した結果、赤字幅が拡大し、わが国のサービス収支全体の赤字につながっている。今後、インバウンド需要の増加に伴うヒトに関連するサービス収支の黒字幅拡大に加えて、デジタルなどの分野でも本邦企業の「稼ぐ力」が強くなる方向で、グローバル化が一段と進むことが期待される。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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