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米国シンジケートローン市場の現状および邦銀の取り組み

2022年4月12日
金融機構局 青木凌、渡邊真一郎

要旨

シンジケートローン(シローン)は、企業にとっては大規模かつ柔軟性の高い資金調達手段として、金融機関にとっては与信リスクをコントロール可能で手数料収入の割合が高いビジネスとして、組成額を伸ばしてきた。特に、米国シローン市場は、手数料規模(フィープール)が大きく、金融機関の重要な収益源となっており、海外ビジネスを拡大する邦銀は、近年、米国シローン市場でのプレゼンスを高めている。邦銀は米国において、シローンを通じて相対貸出よりも多くの低格付先向け与信を抱えているほか、シローンで設定するリボルビングクレジット(コミットメント枠内で借入を随時実施可能)に付随する外貨流動性リスクや、ローン組成から売却までの価格変動リスク・募残リスクが存在する。今後、邦銀は、手数料ビジネスの拡大を企図して、シローンビジネスを継続・拡大していく方向にあり、それらに付随する各種リスクに留意していくことの重要性が高まっている。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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