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「総括的検証」補足ペーパーシリーズ(1):「量的・質的金融緩和」の3年間における予想物価上昇率の変化

2016年10月6日
企画局 西野孝佑、山本弘樹、北原潤、永幡崇

要旨

日本銀行が「量的・質的金融緩和」を導入してから3年余りが経過した。本稿では、この期間において、予想物価上昇率がどのように変化したのか、また、その背景にはどのような力が働いてきたのか、分析を行った。その結果、予想物価上昇率は、上昇→横ばい→弱含みの3つのフェーズに分けられ、「量的・質的金融緩和」が予想物価上昇率を押し上げた一方、原油価格の下落や新興国発の市場の不安定化などの外的要因が下押しに働いたことが示唆された。もともと現実の物価上昇率の動きに影響されやすい(「適合的な期待形成」の要素が強い)日本の予想物価上昇率は、2014年夏以降、原油価格の下落などの外的要因によって物価上昇率が低下すると、その影響を強く受ける結果になったと考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。

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