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欧州におけるマイナス金利政策と短期金融市場の動向

2016年2月29日
金融市場局 中野章洋、八木智美、建井秀史、渡邊真一郎、高田英樹

要旨

本年1月末に日本銀行が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定したが、欧州のいくつかの国・地域ではここ数年来、こうした「中央銀行の取引先金融機関に対する負債にマイナス金利を適用する」という意味でのマイナス金利政策が実施されている。その内容をみると、多くの中央銀行で、取引先に対する負債をいくつかの階層に分割し、それぞれの階層に異なる金利を適用する、階層構造方式が採られている。マイナス金利政策を実施している欧州の国・地域について、短期金融市場の動向をみると、市場の取引高は、ユーロ圏では緩やかに減少しているものの、その他では導入以前の水準以上で推移している。特にスイスやデンマークでは、階層構造方式に動機づけられた金利裁定取引が観察されている。また、短期金融市場の金利は、いずれの国・地域においても、マイナス圏で推移している。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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