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近年の中国におけるホットマネーの動き

2009年7月21日
アジア金融協力センター
露口洋介

要旨

中国の国際収支統計を利用して、中国への短期資金の流出入、いわゆるホットマネーの動きを分析しようとする場合、中国人民銀行による金融調節面での各種施策((1)市中銀行との為替スワップ取引、(2)外貨での準備預金積み立ての要求)や(3)中国版ソブリン・ウェルス・ファンドの設立といった動きの影響によって、ホットマネーの動きがわかりにくくなっている。そうした影響を調整してみると、2007年から2008年上期にかけて巨額のホットマネーが流入し、逆に2008年下期には巨額の流出が発生していたことがわかる。その背景には、中国国内の人民元対米ドル・フォワードレートが金利平価から大きく乖離したことに着目した裁定取引の活発化があるものとみられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。
ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行 国際局アジア金融協力センター 露口洋介(E-mail :yousuke.tsuyuguchi@boj.or.jp)までお知らせ下さい。