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金融機関におけるシステム共同化の現状と課題

地域銀行108行へのアンケート調査結果から

2009年6月30日
日本銀行金融機構局

はじめに

 わが国の地域銀行では、預金や為替など金融業務の根幹を支える勘定系システムについて、自行単独1の運営方式から、「システム共同化」2による運営方式に移行する動きが加速している。このような共同化されたシステム(以下、共同システム)は、わが国の決済サービスを支えるインフラとして存在感を増している。

 システム共同化は、自行単独での運営に比べ、システム経費削減とこれに伴う投資余力の拡大、サービス提供時間の拡大などシステム機能強化とこれに伴う顧客サービスの向上等、様々なプラスの効果が期待できる。反面、参加金融機関間の調整負担の発生とこれに伴う意思決定の遅延など、新たに生じる課題も少なくない。また、万一共同システムに障害が発生した場合、同時に複数の金融機関が影響を受けることにより、決済システムの円滑な運行に支障が生じかねない。

 このため、日本銀行では数年前からシステム共同化を重点調査対象とし、考査等を通じて、共同システムに移行する際のプロジェクト管理、およびシステム共同化後のシステムリスク管理の両面から、金融機関の対応状況の把握に努めてきた。さらに、本年3月、勘定系システムにおけるシステム共同化の全体像を把握することを目的に、地域銀行全行(108行)の協力を得てアンケート調査を実施した。本稿は、このアンケート結果をもとに、システム共同化の実態を明らかにするとともに、共同化にかかるリスク管理上の留意点等を整理したものである。

 金融機関において、また共同システムの運営に当るITベンダー等において、本稿を今後の経営戦略やリスク管理を考える際の参考としていただくことを期待している。

  • ここで「自行単独」とは、仕様決定からシステムの開発、運用までを自前で行う、ないしこうした業務を自行単独で外部委託することを指す。
  • 本稿では、「システム共同化」を「複数の金融機関がシステムを共同開発すること(システムの仕様を共同で決定し、システムの開発を共同で外部委託すること)、またはシステム運用を共同で外部委託すること」と定義。

アンケート調査の概要

 実施時期  :2009年3月
 対象金融機関:地域銀行全108行
 対象システム:勘定系システム

本件に関する照会先

日本銀行金融機構局 システム関連考査担当

E-mail: CSRBCM@boj.or.jp

日本銀行から

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