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諸外国におけるインフレ・ターゲティング

2000年 6月
日本銀行企画室

日本銀行から

 本稿は、各国中央銀行等の公表資料に基づいて、松澤祐介(2000年4月まで企画室政策調査課に在籍、現在名古屋支店)をはじめ、企画室のスタッフが取りまとめたものである。

 以下には、冒頭部分(はじめに)を掲載しています。全文は、こちら (ron0006a.pdf 119KB) から入手できます。

はじめに

 わが国では、ここ1〜2年、インフレ・ターゲティングを巡る議論が高まっている。日本銀行の政策委員会でも、インフレ・ターゲティングについて、これまでしばしば議論が行われてきた。そうした議論を通じた現時点までの政策委員会における大勢の考え方は、概ね次の3点に集約される。

 第1に、最近のわが国におけるインフレ・ターゲティングを支持する議論としては、内容が異なる2種類の主張があり、そのひとつである「調整インフレ政策」については、日本銀行として採りえない選択肢である。第2に、2種類の主張のもうひとつは、「物価の安定」に対する信認を高める枠組みとして、実際にいくつかの諸外国で行われているようなインフレ・ターゲティングのメリットを強調する考え方であり、そうした正統的なインフレ・ターゲティングについては、日本銀行としても検討の余地がある。しかし第3に、仮にそうした正統的なインフレ・ターゲティングであっても、そもそも「物価の安定」をどう定義するかなど技術的な点を含め、難しい問題があることを踏まえて慎重に検討する必要がある。

 このように、日本銀行では、インフレ・ターゲティングについてこれまで基本的には慎重な立場を採ってきているが、金融政策の透明性を高めるための手法や枠組みについて今後も不断に検討を続けていくことは重要である。その際、諸外国におけるインフレ・ターゲティングの実情等を踏まえておくことも有意義であり、本稿は、そうした観点から諸外国の事例を取りまとめたものである。以下、I.で諸外国の事例の総括と若干の含意を述べ、II.で調査対象とした12か国について個別に事例を紹介する。

以上