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金融機関におけるモバイルアプリの提供状況と管理体制について-アンケート調査結果から-

2022年11月15日
日本銀行金融機構局

要旨

金融機関では、1990年代後半以降、顧客利便性の向上や業務の効率化を企図して、インターネットを通じた金融取引サービスの提供・拡充を進めてきた。こうしたなか、近年では、スマートフォンをはじめとしたモバイル端末の保有率上昇等を背景に、対顧客接点として、モバイルアプリの新規開発や機能拡充に注力する動きがみられている。

日本銀行では、こうした金融機関の動向や、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、非対面型のサービスに対する人々のニーズが高まっている状況を踏まえて、取引先金融機関のうち156先を対象に、モバイルアプリの提供状況等を調査するため、アンケート調査を実施した。アンケート結果をみると、多くの金融機関がモバイルアプリを提供しているほか、モバイルアプリなどのデジタルチャネルは、今後も更なる利用増加を見込んでおり、対顧客チャネルのデジタル化、非対面化が今後も一段と進展していくとみられることが確認できた。

金融機関の対顧客チャネルにおけるデジタル化の進展は、顧客の利便性向上に資する一方、インシデントが発生した場合の顧客への影響度は大きくなる。平時から適切な開発・管理体制の下でモバイルアプリの脆弱性対応やセキュリティ対策を実施していくとともに、インシデント発生時を想定し、顧客に対してサービス停止の状況や代替サービス(店舗窓口、ATM等)の案内といった情報が円滑に伝達されるよう業務継続体制を構築しておくことが重要である。チャネルごとの事務量の動向といった環境変化を踏まえた訓練(机上を含む)を定期的に実施することを通じて、想定している業務継続体制の実効性を検証するとともに、管理体制の更なる強化に繋げていくことが期待される。

日本銀行としても、今後も考査・モニタリングやセミナーなどを通じて、金融機関のこうした取り組みを後押ししていく方針である。

日本銀行から

本レポートの内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行金融機構局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

照会先

金融機構局考査企画課

E-mail : csrbcm@boj.or.jp