(参考)今回の企業金融円滑化策等について
2002年12月17日
日本銀行
- 現在、金融機関は、不良債権問題への取り組みを強める中で、信用力の低い企業に対して貸出姿勢を慎重化させている。
- こうした状況を踏まえて、日本銀行として、企業金融の円滑確保等のため、下記1.および2.の措置を講じる。
- なお、(企業金融円滑化とは関係しないが)ストリップス制度の導入への対応のため、併せて3.の措置も講じる。
1.証書貸付債権の担保掛け目の細分化および適格対象の拡大について
- (1)証書貸付債権について、債務者種類および当初貸付期間毎に担保掛け目を細分化。
- (2)当初貸付期間5年超10年以内(満期が応当月内に到来するものを含む)の証書貸付債権を、新たに適格担保化。
(効果)
- (1)担保掛け目の細分化により、貸付期間が3年以内の証書貸付の掛け目が高くなり、金融機関の担保効率が改善する。
- (2)こうした担保効率の改善に加え、貸付期間5年超10年以内の証書貸付債権が新たに適格担保に加わることにより、金融機関が証書貸付債権の担保差入を増加させるインセンティブが相対的に高まる。このため、相応の担保拡大効果をもたらすことが期待される。
- (3)これらの効果により、金融機関は、手形オペ等を通じた日本銀行からのリファイナンスを受けやすくなることから、企業金融円滑化の効果が相応に期待される。
● 変更後の担保掛け目は以下のとおり。
● 本措置は本年12月27日から実施する。
2.ABCPの適格審査における取引先保証債務不適格化要件の緩和
ABCPについて、取引先または取引先関係企業の保証する債務に関する不適格化要件等を時限的に不適用とする(現行の「適格担保取扱基本要領」の特則を定める)。
(効果)
- (1)現状では、適格となるABCPは市場全体の5%に止まっているが、本件措置により、9割近くが適格化の対象となる見込み。
- (2)引受サイドの金融機関では、CP現先オペや手形オペを通じた在庫ファイナンスが順便となるため、引受姿勢を積極化させ、企業の資金調達の円滑化に相応の効果を発揮することが期待される。
● 本措置は、2004年度末までの時限的な措置とし、2003年1月9日(予定)から実施する。
3.ストリップス債の適格担保化
2003年1月6日に導入される分離元本振替国債および分離利息振替国債(いわゆるストリップス債)を適格担保とする。
新振替決済制度への移行(2003年1月27日の予定)後、新規に発行される固定利付国債がストリップスの対象となる。
● 新たな担保掛け目は以下のとおり。
● 本措置は2003年1月6日から実施する。
以上