このページの本文へ移動

国債市場の流動性と金融調節の透明性を向上するための施策

2001年 5月29日
日本銀行金融市場局

 日本銀行は、国債市場の流動性を高めるとともに、金融調節の透明性を一層向上させる観点から、以下の措置を実施することとしました。

1.日本銀行が保有する国債の銘柄別残高の公表

 国債市場における情報整備の一環として、定期的に、日本銀行が保有する国債の銘柄別残高を公表することとしました。この措置は、市場参加者の皆様から寄せられたご要望等を踏まえたものです。日本銀行としても、個別銘柄の市中流通量の推測が容易となることにより、国債市場の流動性向上に資するものと考えています。具体的な公表方法や、本年5月1日現在の銘柄毎の残高は別紙1のとおりです。

2.国債系オペにおける国債決済未了時の措置の公表

 日本銀行が行なうオペの決済が約定どおりに実行されない場合、金融調節の円滑な遂行に支障が生じます。このため、日本銀行としては、こうした事態の発生を回避する必要があると考えています。

 一方、市場参加者の方々からは、本年1月の国債決済の即時グロス決済化以降、国債を対象とするオペにおいて、オペの参加者が国債を約定どおりに日本銀行に引渡せなかった場合の措置を明確にして欲しい、との要望が寄せられてきました。

 こうしたことを踏まえ、日本銀行では、今般、金融調節の円滑な遂行と透明性の向上を図る観点から、国債系オペにおける国債決済未了時の措置を公表することとしました。具体的な内容は、別紙2のとおりです。

以上


(別紙1)

日本銀行が保有する国債の銘柄別残高の公表 注1

  1. 公表計数:銘柄別保有残高(除く短期国債)注2
  2. 公表頻度:月1回
  3. 公表のタイミング:毎月1回目の国債買入オペにおける買入日時点の残高を翌営業日夕刻に公表
  4. 公表方法:本行ホームページ上の「金融経済統計資料」エリアに掲載

なお、本年5月1日現在の銘柄別保有国債残高は、別添のとおりです。

  1. (注1)これまでの検討経過については、金融市場局マーケット・レビュー2000-J-2をご参照ください。
  2. (注2)保有残高=国債買入オペの買い入れ分+借換のための引受分。額面ベース。

以上


(別添)

銘柄別保有残高 (平成13年5月1日現在)

銘柄別保有残高(平成13年5月1日現在)(単位、億円)
銘柄(10年債) 保有残高* 銘柄(20年債) 保有残高*
140回債 10,498 2回債 3,706
141回債 2,871 3回債 1,718
142回債 2,016 4回債 600
143回債 1,840 5回債 1,580
144回債 8,460 6回債 1,820
145回債 15,756 7回債 1,861
147回債 753 8回債 1,449
148回債 874 9回債 1,090
149回債 6,950 10回債 1,220
150回債 1,905 11回債 2,765
151回債 5,380 13回債 438
152回債 2,268 14回債 1,106
153回債 5,691 15回債 768
155回債 1,364 16回債 1,160
156回債 1,150 17回債 582
157回債 8,505 18回債 830
159回債 5,005 19回債 1,340
161回債 2,658 20回債 1,117
163回債 1,884 21回債 1,520
164回債 7,107 22回債 2,055
166回債 3,533 23回債 1,365
167回債 8,356 24回債 730
168回債 3,948 25回債 103
169回債 2,115 26回債 1,102
170回債 7,045 27回債 3,961
171回債 13,988 28回債 1,064
172回債 5,698 29回債 1,372
173回債 3,545 30回債 3,675
174回債 26,248 31回債 2,236
175回債 1,072 32回債 1,395
176回債 3,550 33回債 3,948
177回債 1,539 34回債 1,415
178回債 1,205 35回債 1,275
179回債 1,290 36回債 1,349
180回債 1,375 37回債 1,590
181回債 8,173 38回債 1,675
182回債 22,020 39回債 3,636
183回債 816 40回債 1,256
184回債 3,496 41回債 666
185回債 3,202 42回債 1,865
186回債 1,711 43回債 606
187回債 19,973 44回債 559
188回債 8,316 45回債 307
189回債 960    
190回債 293    
191回債 6,776    
192回債 645    
193回債 1,246    
194回債 3,432    
195回債 106    
196回債 11    
197回債 3    
198回債 3,528    
199回債 2,078    
200回債 15,538    
201回債 5,071    
202回債 1,578    
203回債 1,072    
204回債 24,315    
205回債 251    
206回債 13,700    
207回債 4,014    
208回債 12,114    
209回債 364    
210回債 7,611    
211回債 605    
212回債 1,391    
213回債 850    
214回債 1,927    
215回債 653    
216回債 100    
217回債 290    
218回債 310    
219回債 350    
220回債 30    
  • 保有残高 = 国債買入オペの買い入れ分 + 借換のための引受分。額面ベース。

(別紙2)

国債系オペにおける国債決済未了時の措置について

1.対象となる国債系オペ

  1. (a)国債借入(レポ)オペ
  2. (b)国債買入オペ
  3. (c)短期国債買入オペ
  4. (d)短期国債買現先オペ
  5. (e)短期国債売現先オペ
  • (注)上記のオペで、オペの参加者(以下「オペ対象先」といいます。)から日本銀行に対する国債の引渡しが問題となり得るケースは、(a)~(d)のスタート取引と、(e)のエンド取引です。
     このうち、(a)~(c)は、現在、「一般処理(午後3時)」で決済されており、(d)、(e)は即時グロス決済(以下「RTGS」といいます。)で決済されています。

2.国債系オペにおける国債決済未了時の措置の具体的内容

(1)決済締切時刻までに国債を日本銀行に引渡すことができなかった場合1

(a)「一般処理(午後3時)」で決済することとしているオペ

 一般処理(午後3時)の際に、オペ対象先が、保有する国債残高が不足していることを原因として、国債の全部または一部を日本銀行に引渡すことができなかった場合には、当該先が所要の国債調達の確実な目途を下表に掲げる時刻までに付けるとともに、遅滞なく所要の事務を行うことを条件に、その日本銀行への引渡しを一般処理(午後3時)後に行うことを認めます。

通常日(国債発行のない日)
午後3時30分
利付国債以外の国債のみの発行日
午後4時30分
利付国債の発行日
午後5時
  1. 日本銀行への国債の引渡しは、各国債系オペの決済単位毎に行います。国債借入(レポ)オペ、国債買入オペおよび短期国債買入オペの決済単位は「銘柄・レート別」に、短期国債買現先オペおよび短期国債売現先オペの決済単位は「銘柄別」になっています。
(b)RTGSで決済することとしているオペ

 決済締切時刻2までに、オペ対象先が、国債の全部または一部を日本銀行に引渡すことができなかった場合には、当該先が所要の国債調達の確実な目途を当該時刻までに付けているとともに、遅滞なく所要の事務を行うことを条件に、その日本銀行への引渡しを決済締切時刻後に行うことを認めます。

  1. 2RTGSで決済することとしているオペの決済締切時刻は、上記(a)の表に掲げる時刻と同じです。

(2)日本銀行金融ネットワークシステム国債系のオンライン入力締切時刻までに国債を日本銀行に引渡すことができなかった場合

 最終的に、下表に掲げる日本銀行金融ネットワークシステム国債系のオンライン入力締切時刻までに、オペ対象先が、国債の全部または一部を日本銀行に引渡すことができなかった場合には、オペの決済額を減額します(減額分の決済の翌営業日以後への延期は行いません)。

通常日(国債発行のない日)

午後4時30分

利付国債以外の国債のみの発行日

午後5時30分

利付国債の発行日

午後6時

(3)オペ対象先に対する措置

 オペ対象先が、上記(1)または(2)を発生させた場合には、日本銀行は、下記(a)および(b)により点数をカウントし、その合計値に応じて、その先に対して(c)の措置を講じます。

(a)点数のカウント方法
  1. イ.(1)を発生させたが、(2)は発生させなかった場合
    1回当り0.5点が発生します。
  2. ロ.(1)および(2)の双方を発生させた場合
    1回当り1.0点が発生します。

なお、点数のカウントは、オペ手段別に行ないます。

(b)点数の存続期間

発生した日から起算して3ヶ月とします。

(c)点数の合計値に応じた措置の内容
  1. イ.点数の合計値が1.5に達した場合
    そのオペについて、点数の合計値が1.5に達した日から起算して1ヶ月間オファーを停止します。
  2. ロ.点数の合計値が2.5に達した場合
    そのオペについて、点数の合計値が2.5に達した日から起算して1ヶ月間オファーを停止します。
  3. ハ.点数の合計値が3.5に達した場合
    そのオペについて、対象先としての資格を抹消します。

3.国債系オペにおける国債決済未了時の措置の実施時期等

 国債系オペにおける国債決済未了時の措置は、平成13年5月30日より、全ての国債系オペにかかる決済に適用します。

 ただし、国債系オペにおける国債残高不足等の発生が、オペ対象先の不公正な取引意図、信用力の低下その他これらに準ずべき事由によるものと日本銀行が判断した場合には、上記とは異なる措置を講ずることがあり得ます。

 日本銀行では、4月24日に、「国債決済のRTGS化に関する追加措置等の実施スケジュールについて」を公表したほか、市場関係者の間でも、一層の決済円滑化のための努力が続けられております。日本銀行としては、今後、こうした取り組みの進展に応じて、国債系オペにおける国債決済未了時の措置を見直していく方針であることを、最後に申し添えます。

以上