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新たな自己資本充実度の枠組みに係る作業の近況報告(第1号)

(日本銀行仮訳)

1999年11月
バーゼル銀行監督委員会

 本近況報告の目的は、バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委員会)が、去る6月に公表した市中協議ペーパーに提示した枠組みに沿い、新たな自己資本充実度の枠組みを構築するために行っている作業について、銀行業界、監督当局、およびその他の関係者に情報を提供することにある。バーゼル委員会は、市中協議プロセスにおいて適宜の時点でこうした近況報告を発出する所存である。

焦点:主要な活動

リスク管理小委員会、バンキング勘定の金利リスクおよびオペレーショナル・リスクについてワークショップを開催

 リスク管理小委員会(議長:Roger Cole氏、米国連邦準備制度理事会Associate Director)は、バンキング勘定の金利リスクが平均的水準を大幅に上回っている銀行(outliers)の同リスクとオペレーショナル・リスクに対して自己資本を課すための枠組みを構築する作業を行っている。同小委員会は、業界との間で継続的に行っている対話の一環として、10月に銀行や他の業界参加者とのワークショップを1日づつ2回開催した。これらのワークショップの目的は、バンキング勘定の金利リスクおよびオペレーショナル・リスクの定義および定量化に関する様々な問題点について議論することにあった。

モデル・タスクフォース、内部格付システムのプレゼンテーションを主催

 モデル・タスクフォース(議長:Daniele Nouy氏、バーゼル委員会事務局長)は、信用リスクに係る所要自己資本額を内部格付に基づいて算出するアプローチの開発を担当している。同タスクフォースは今年の春から夏にかけて、バーゼル委員会メンバー諸国に属する30の銀行を対象として、内部格付のシステムとそのプロセスについて調査を行った。本調査により得られた知識を補うため、同タスクフォースは最近、ニューヨークとローマにおいて銀行等による一連のプレゼンテーションを主催した。バーゼル委員会は、内部格付の実務の範囲を明らかにするために行った調査の結果を近月中に公表し、業界からのコメントを求める所存である。また、同タスクフォースは引続き、内部格付のシステムおよびプロセスの主要な要素に係る健全な実務のための基準を開発するとともに、内部格付と資産が有する他の特徴を所要自己資本額に結び付ける手法の分析を行っていく予定である。

自己資本小委員会、信用リスク削減手法に係るサーベイを実施

 バーゼル委員会は、6月に公表した市中協議ペーパーにおいて、クレジット・デリバティブ、担保、保証、オンバランス・ネッティング等の信用リスク削減手法の自己資本規制上の取扱いについて、健全かつ整合的なアプローチを開発したいと考えている旨述べた。自己資本小委員会(議長:Oliver Page氏、英国金融サービス機構コンプレックス・グループ局長)は本件について作業を行っており、最近、銀行と各国監督当局との間の議論のベースとすることを目的として、論点ペーパーを作成した。自己資本小委員会は、業界から同論点ペーパーに寄せられたコメントの要約を公表する予定である。同小委員会はまた、これらの議論を通じて得られた情報に基づいて、信用リスク削減手法の取扱いに関する具体的な提案を作成する所存である。

バーゼル委員会、監督者の地域的なグループの議長と会合

 バーゼル委員会は、他の国際的な銀行監督者グループとの関係を強化する方針を堅持しており、引続き、様々な手段を通じてこうした協力関係の強化に向けて努力する。提案されている自己資本充実度の枠組みとの関連では、当委員会は、この問題に特に焦点を当てるための作業部会(自己資本に関する非G10作業部会、議長:Huw Evans氏、英国金融サービス機構中央政策ユニット特別顧問)を組成している。当部会では、非G10諸国から、本提案に対する見方や、それらの国の監督および銀行システムに与える影響について、意見を求めることとなっている。こうした努力をさらに進めるために、当委員会は、監督者の地域的なグループの議長との会合を主催し、新たな自己資本充実度の枠組みをはじめとする諸問題につき協議を行う予定である。より広範には、バーゼル委員会や事務局のメンバーも、引続き地域的および国際的な銀行監督者の会合に出席し、関心を共有する問題について意見を述べ、かつ情報を集める所存である。バーゼル委員会はまた、銀行監督を世界レベルで強化するための共同の努力を引続き追求する所存であり、その中にはセミナーやコンファレンス、研修コース等が含まれる。

バーゼル委員会、信用リスク・モデル・ペーパーへのコメントを受領

 報告書「信用リスク・モデル──現状とその活用」(1999年4月)の正式のコメント期間は1999年10月1日に終了した。当報告書は銀行業界、学界、その他の関心を有する主体から多くのフィードバックを受けた。当委員会のモデル・タスクフォースは、これらのコメントを検討しているプロセスにあり、市中協議プロセスで得られた主要点を公表することを目指している。モデル・タスクフォースはまた、信用リスク・モデルと規制上の自己資本に関する論点が、提案されている自己資本の枠組みへの全体的なコメントの中で取上げられる可能性があることを認識している。当タスク・フォースは、勿論そうした追加的なコメントを歓迎するし、将来の検討の中に取込んでいく所存である。

以上

(訳注)…原文はインターネットのBIS website(http://www.bis.org)(外部サイトへのリンク)をご参照下さい。なお、今回は初回であるために当仮訳を作成しましたが、今後は仮訳は作成しない予定です。