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証券化の枠組の修正

2004年 1月30日
バーゼル銀行監督委員会

日本銀行から

 以下には要旨の仮訳を掲載しています。全文(原文英語)は、BISのホームページ(http://www.bis.org/(外部サイトへのリンク))で入手できます。

 本テクニカル・ペ−パーは、バーゼル委員会が2004年1月15日付のプレスリリースにおいて公表を予告していたものである。

 バーゼル銀行監督委員会は2003年10月、新しいバ−ゼル合意に関する第三次市中協議文書(CP3)に対するパブリック・コメントに応えて、証券化エクスポージャーに適用する内部格付(IRB)手法を修正する計画を公表した。

 当委員会は、2004年1月の会合において、証券化に関する提案の複雑性および同提案の実施に伴う実務的な負担に関する業界の懸念に対応するための修正点を具体化させた。当委員会はまた、証券化の枠組に含まれる諸提案の間の整合性を高める必要性に関する業界のコメントを集中的に検討した。

 本ペーパーは、信用リスクにIRB手法を適用する銀行に提示されている証券化の枠組を如何に組み立て直すか、についての当委員会の現時点の考え方を示すものである。当委員会は、以下の方法により、証券化の枠組を簡素化し、提示された諸手法の間の整合性を高めるつもりである。

  • 第一に、当委員会は、リスクの低い一部の無格付ポジションについて、銀行の現行のリスク管理実務により近い取扱いを採用することを計画している。このため、当委員会は、資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)導管に対する銀行のエクスポージャーについて、内部評価手法(IAA)を導入する所存である。本手法は、一部の国の銀行が内部的な目的で現在用いている手法に基礎を置くものである。
  • 第二に、当委員会は、無格付ポジションの取扱いに関し、CP3に提示した「当局が設定する関数式(SF)」に代わる選択肢として、より簡素な手法を設ける。これは、一部のコメントにおいて、SFは不必要に複雑であり、計算上の負担が重いとされていたことに応えるものである。
  • 第三に、当委員会は、購入した売掛債権に対する所要自己資本を計算する際のトップダウン手法に柔軟性を加える方法を検討中である。これは、KIRB、すなわち証券化対象エクスポージャーが仮に証券化されなかったとした場合に賦課された所要自己資本額の計算を容易にするためである。
  • 第四に、外部格付を有するポジションは、当該銀行がオリジネーターであるか投資家であるか、また当該ポジションがKIRB以下の部分に位置するかKIRBを超える部分に位置するかを問わず、全て格付準拠方式(RBA)の適用対象とする。
  • 最後に、RBAにおいて(同じ格付けのポジションの中で)最も低いリスクウェイト(CP3に示されているリスクウェイト表中の一番左側の列)の適用対象となるのは、CP3に定義されている「(トランシェの)厚い」ポジションではなく、「優先性の高い」ポジションとなる。また、リスクウェイトに若干の変更を加えることも提案されている。

 本ペーパーは、非期待損失(UL)のみを対象とするようにリスクウェイトを水準調整することの影響についても論じている。当委員会における議論は未だ継続中であり、ここに述べられている手法は今後も見直される可能性があることに留意されたい。