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【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策神奈川県金融経済懇談会における挨拶要旨

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日本銀行政策委員会審議委員 片岡 剛士
2018年9月6日

1.はじめに

日本銀行の片岡でございます。この度は神奈川県の各界を代表する皆様と懇談をさせていただくという貴重な機会を賜り、誠にありがとうございます。また、皆様には、日頃から日本銀行横浜支店の業務運営に対し、ご支援、ご協力を頂いておりますことを、この場をお借りして改めて厚く御礼申し上げます。

本日は、わが国の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営につきまして、私の考え方を交えながらお話させて頂ければと存じます。その後、皆様から、当地の実情に関するお話や、日本銀行の業務や金融政策に対する率直なご意見をお聞かせいただければと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

2.経済・物価情勢

(1)内外経済の現状と先行き

最初に、わが国を取り巻く世界経済の動向からお話しします。私は、今年の世界経済は、設備投資と輸出の改善を伴って緩やかに成長するとみています。主要国・地域別に敷衍しますと、米国経済は、財政政策の後押しもあって好調であり、物価上昇率は当面2%程度で推移すると見込まれます。欧州経済は、昨年後半の急速な盛り上がりは一巡しましたが、個人消費や企業投資は堅調さを維持しています。中国経済は総じて安定した成長を続け、その他の新興国経済も概ね緩やかな回復基調を維持しています。

図表1には国際機関の経済見通しを示しています。2019年をみますと、主要先進国の成長率は18年と比較してやや鈍化する見込みですが、新興国が主要先進国の成長率鈍化を補う形で成長して、世界全体としては18年と変わらない程度の成長率が維持されるとの見通しとなっています。

このように国際機関の見通しでは、世界経済は、来年も着実な拡大基調を続けることが予想されています。しかし、昨今の不確実性の強まりを考慮すると、私は、来年以降は世界経済の拡大ペースがやや鈍化する可能性が高まっていると考えています。すなわち、米国の金融引き締めと国際金融市場への影響、保護主義的な動きとその影響、英国のEU離脱交渉の展開といった不確実性は、このところ徐々に強まりつつあります。中でも、貿易摩擦は深刻さを増しており、予断を許さない状況です。図表2には、貿易摩擦の経済的インパクトについて、IMFが試算した結果をまとめています。一定の前提のもとでは、関税率引き上げの直接的な影響は大きくないとされています。しかし、生産の過程で多数の部品を要する自動車で関税率が引き上げられることになれば、各国間の輸出入を通じた経済的影響は大きくなります。さらに、貿易摩擦の深刻化が、企業や投資家のセンチメント悪化を通じて設備投資の停滞や株安などにつながった場合には、世界経済への影響は無視できないものとなると予想されます。不確実性が徐々に強まる中で、これまで以上に海外経済の動向には注意が必要な情勢です。

次に、わが国経済の動向をみていきます。まず足もとの動向についてです。18年4~6月期の実質GDPは、緩やかに成長する世界経済からのサポートに加え、冬場の天候不順等により内需が低迷した反動もあって、2四半期ぶりにプラス成長となりました。図表3には、実質GDP成長率と需要項目別の寄与度をまとめています。民間消費が雇用・所得環境改善の後押しもあり増加に転じた中、設備投資も増勢を強めたことで、成長に対する内需の寄与が強まりました。他方で、サービス輸出の減少が外需の寄与の弱まりにつながりました。4~6月期の財輸出は堅調でしたが、今後、貿易摩擦の動向が財輸出に及ぼす影響については注意深く観察していく必要があります。

わが国経済の先行きについて、図表4にお示しした本年7月の展望レポートにおける政策委員の経済見通しの中央値をみると、18年度に+1.5%、19年度と20年度に+0.8%の成長が見込まれています。私自身は、これよりも幾分緩やかな成長ペースを見込んでいます。18年度は、企業の業績やマインドの改善を背景とした設備投資の増加や、海外経済の拡大を背景とした輸出増などを主因に、実質GDPは1%程度の成長となるとみています。19年度には、先ほど述べた世界経済の拡大ペースの鈍化や、同年10月の消費税率引き上げなどを受けた内需の悪化によって0%台後半まで減速し、さらに、20年度は0%台半ばの成長率にとどまると予想しています。

さて、将来の成長率を見通すにあたり重要となる国内経済イベントの1つが、19年10月に予定されている消費税率の引き上げです。次回の消費税率引き上げは、前回の14年時と比べ引き上げ幅が小幅で、かつ軽減税率が導入される予定であることもあり、家計の直接的な負担に限れば影響は小さいと言えるのかもしれません。しかし、図表5左図のとおり、家計消費は、前回の消費税率引き上げから4年が経過した現段階で、ようやく引き上げ1年前の13年4月時点の水準まで回復した状況です。また、図表5右図に示した消費活動指数の形態別実質消費の推移をみると、耐久財やサービス消費は振れを伴いながら増加しているものの、飲食料品や衣料品などを含む非耐久財消費は低迷が続いており、家計消費には依然として脆弱性が残っていると私自身はみています。こうした状況が続く中では、税率引き上げの影響を過小評価することはできません。加えて、20年度にかけて、オリンピック需要の剥落等から国内設備投資の拡大基調が一服する可能性があるほか、先に述べた海外経済を巡るリスクシナリオが顕在化する可能性も相応にあるため、19年度以降の経済成長率は、下振れの可能性が大きいと考えています。

(2)物価の現状と先行き

続いて、わが国の物価動向についてみていきます。7月の全国消費者物価指数の実績は、図表6左図のとおり、生鮮食品を除く総合で前年比+0.8%上昇しました。しかし、エネルギー価格上昇の寄与が+0.5%ポイントと大きく、需給動向を直接的に反映する、生鮮食品とエネルギーを除く総合では、前年比+0.3%にとどまっています。物価情勢を判断するにあたっては、振れの大きい一部品目を除いた基調的な変動を把握することが重要です。図表6右図では、消費者物価の基調的な変動を表す様々な指標を示していますが、今年3月以降いずれも低下基調にあり、私は、物価の基調的な上昇力が弱まっているとみています。

物価の基調的な変動に影響を及ぼす指標としては、マクロの需給ギャップと中長期的な予想インフレ率の2つが重要です。需給ギャップは、図表7左図にあるとおり、資本・労働市場の改善を映じて需要超過の度合いを強めています。この一方で、物価の基調的な上昇力が弱まっていることについては、様々な要因を指摘することができます。7月の展望レポートでは、家計の値上げに対する許容度が高まっていないことや、企業の賃金・価格設定スタンスが、コストが上昇する中でも十分に強まっていないことなどを分析しました1。こうした企業や家計の経済行動は、粘着的とはいえ長期に持続可能なものではないため、今後、需給ギャップの拡大基調が、より強まる動きが続けば、次第に解消され、物価を停滞させる作用も弱まっていくと考えられます。

他方で、予想インフレ率は、弱めの動きが続いているとみています。これには、過去、長期にわたってデフレが続いたことや、足もとの物価の動きが弱いことがバックワード要因として作用していると考えられます。これに加え、私は、本行が掲げる2%の「物価安定の目標」に対するコミットメントが弱まってしまっていることも影響していると考えています。

物価の先行きについては、7月の展望レポートにおける政策委員見通しの中央値は、消費税率引き上げの影響を除くケースで、18年度+1.1%、19年度+1.5%、20年度+1.6%となっています(前掲図表4)。前回4月の展望レポートと比較すると、足もとの弱めの物価情勢を受けて見通しが引き下げられましたが、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタム(勢い)は維持されているというのが本行の基本的な見解です。しかし、私自身は、2%に向けて物価上昇率が高まる蓋然性は現時点では低く、モメンタムも足もと弱まってしまっていると判断しており、7月展望レポートの一部の記述に賛成しませんでした。これについては、次に、金融政策運営と関連付けて説明したいと存じます。

  1. 詳細については、http://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1807b.pdfのBOX1からBOX7をご覧下さい。

3.金融政策運営

その前に、まず現在の金融政策の枠組みについて、7月の金融政策決定会合における決定内容を含めてご説明します。続いて「物価安定の目標」の達成のために必要な政策について、私の考えをお話ししたいと存じます。

(1)金融政策運営の枠組み

図表8をご覧ください。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指して「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という枠組みのもとで金融政策を運営しています。これは、大きく3つの要素から成り立っています。

1つ目は「長短金利操作」、すなわち「イールドカーブ・コントロール」です。これは、短期金利をマイナス0.1%に設定し、長期金利については、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう長期国債の買い入れを行うことで緩和的な金融環境を実現し、経済および物価に働きかけるという政策です。2つ目は、「ETF(指数連動型上場投資信託)およびJ-REIT(不動産投資信託)等の買入れ」であり、株価等のリスク・プレミアムに働きかけることを通じて経済・物価にプラスの影響を及ぼす観点から行っています。そして3つ目は、先行きの政策運営に関する約束である「コミットメント」です。2016年9月に導入された「オーバーシュート型コミットメント」は、「生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」というものです。これによって、2%の「物価安定の目標」の達成が見通される段階で、早期に金融政策の方向性が転換される可能性を排除し、物価安定目標の実現に対する信認を高めることを狙いとしています。

こうした中、先ほど述べましたように、2%の「物価安定の目標」の実現には想定よりも時間を要しており、7月の展望レポートでは再び物価見通しが引き下げられました。他方で、時間はかかるものの、物価安定目標に向けたモメンタムは維持・強化していかなくてはなりません。こうした認識から、7月の決定会合では、現在の金融緩和を粘り強く続けることで需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く持続し、2%に向けた物価の動きを確かなものとしていくことが望ましいという判断に至りました。この際、金融緩和が長期化することに伴う2つの課題、つまり、物価安定目標の実現に向けた政策スタンスに対する信認をより強力なものとすること、および、金融市場への影響にも配慮しつつ金融緩和の効果を弱めない形で現在の金融緩和の持続性を強化すること、に対処すべく決定したのが、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」です。

図表8では、そのポイントについて、従来の政策枠組みと対比させながら示しています。1点目は「長短金利操作」の持続性を強化するための施策です。具体的には、10年物国債金利の操作目標をゼロ%程度に維持したまま、経済・物価情勢等に応じて長期金利が上下にある程度変動することを許容することにしました。これは国債市場の機能低下に対する懸念を和らげつつ、強力な金融緩和を維持することを企図したものです。2点目は政策の持続性を強化する観点から、ETFの買入れについて年間約6兆円という目標を維持しつつ、市場の状況に応じて買入れ額が上下に変動しうることを明示しました。3点目は、長短金利に関する「フォワードガイダンス」の導入です。具体的には、「2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」と対外的に約束しました。これまでの「オーバーシュート型コミットメント」に加え、将来の金利操作方針に関する想定を明示することで、金融政策に対する市場の信認や期待を高めることを狙っています。

(2)「物価安定の目標」達成のために必要な政策

以上ご説明した「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」に対して、私は、物価が伸び悩む現状や今後のリスク要因を考慮すると、金融緩和自体を強化することが望ましく、長期金利操作の弾力化は「ゼロ%程度」の誘導目標を不明確にするとして反対しました。これに関連して、次の3つの論点を挙げたいと思います。

1点目は、政策委員の物価見通しが引き下げられる中で行うべき政策は、追加緩和であり、金融緩和継続のための枠組み強化ではないと考えることです。現行の金融緩和を粘り強く続けることが望ましいという判断が正当化されるためには、現行の金融緩和の度合いが物価目標の達成に見合うだけの強力なものである必要があります。この判断の鍵となるのが、現行の政策のもとで物価のモメンタムが強まってきたのか、今後強まっていくのかという点です。まず、モメンタムを、需給ギャップと予想インフレ率の2つの指標から検討しますと、需給ギャップは今後もプラスを維持するかもしれませんが、19年以降に成長率が鈍化していく見通しのもとでは、その拡大ペースにはブレーキがかかることが見込まれます。予想インフレ率は、物価上昇率が弱めの中では、適合的な期待形成を通じて弱めの動きを続けると考えられます。したがって、現行の政策のもとで、今後モメンタムが強まっていく可能性は低いと考えています。

物価のモメンタムについては、物価上昇の勢いそのものがどの程度であれば目標に到達しうるのか、という別の観点からも検討可能です。図表9は、統計的手法を用いて「2年後までにインフレ率が2%に到達する確率2」を試算したものです。過去1年間の物価上昇率の平均的なトレンドが先行きも続くとの前提で試算した2%到達確率は、5月以降に低下しており、物価上昇の勢いはやや衰えていると考えられます。また、生鮮食品とエネルギーを除く物価上昇率から同じ要領で計算した2%到達確率は、2016年央以降、ほぼゼロ%となっており、過去1年ほどの物価上昇の勢いは、ほとんどがエネルギー価格によるものでした。つまり、現行の政策のもとでは、物価のモメンタムが目標を早期に達成できるほど十分に高まってはいないと判断されます。

2点目は、長期金利がある程度上下に変動することを許容する政策変更を、物価見通しが引き下げられる現時点で行う必要がないと考えることです。当該政策変更については、金融市場で長期金利の上昇期待が強まる場合に、「ゼロ%程度」との操作目標が徐々に有名無実化しうるのではないか、といった懸念が個人的にはあります。仮に予想インフレ率や物価自体が十分に引き上がらない中で一時的にせよ金利が上昇していくことになれば、「物価安定の目標」の達成が後ずれしかねません。さらに言えば、長短金利操作は、長期金利に上昇圧力がかかる局面で長期金利をゼロ%に留めることで緩和効果が強まるというのが利点の1つですが、弾力化はこうした効果を弱めると考えられます。

3点目は、先行きの政策変更に関するコミットメントやフォワードガイダンスでは、足元のインフレ率と2%の目標に相応の距離がある現状を考慮に入れると、物価に対する金融政策の働きかけを明確にし、目標達成に向けた強い意志を示すことが重要であると考えることです。確かに予想インフレ率が弱めの動きを続けている現状を踏まえると、コミットメントを強化することが望ましいと考えられます。しかし、今回導入されたフォワードガイダンスの「当分の間、きわめて低い長短金利の水準を維持する」という記述は、政策委員の物価見通しや、足もとの物価上昇率と2%の目標に相応の距離がある現状からの合理的帰結と言え、これに現状追認以上の効果があるのか判然としません。むしろ、フォワードガイダンスは、物価に対する働きかけを強化する観点から、物価上昇率、あるいは予想インフレ率や需給ギャップとの関係が明確となる形で設計すべきであると考えています。

以上のように、私は、現行の金融緩和策が「物価安定の目標」の早期達成に足るだけの強力な政策ではないほか、物価上昇率や予想インフレ率が十分に引き上がっていない中で長期金利の上昇を許容しうると、物価目標の達成が後退することになりかねないと考えています。「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するという政府との「共同声明」でも謳われた日本銀行のミッションに鑑みると、物価が伸び悩み、不確実性の拡大が懸念される中では、金融緩和を息長く続けるための枠組みの強化ではなく、逆に息長くならないように金融緩和自体を強化して、経済や物価への働きかけを強めることが重要です。具体的には、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げることで、需給ギャップの拡大ペースを高めて、賃金や価格設定に対する家計・企業の行動変化をさらに強く後押しする施策が必要であると考えています。コミットメントについては、予想インフレ率そのものの拡大を促すべく、「予想物価上昇率に関する現状評価が下方修正された場合には、追加緩和手段を講じる」と約束することで、予想インフレ率の低迷を許容しない姿勢を明確にすることが必要である、と現時点では考えています。

  1. 2確率過程がある閾値に初めて到達する時点がワルド分布に従うことを前提に、閾値を2%、2年後を基準として、それまでに物価上昇率が2%に到達する確率を試算したもの。

4.おわりに

最後に、神奈川県経済についてお話させて頂きます。神奈川県は、今から159年前に開港した横浜がわが国の玄関口として発展する中で、ヒトやモノに併せて新しい文化や考え方が流入し、それらを柔軟に受け入れながら成長してきました。戦後は、交通インフラが整備される中で、首都近郊の生産拠点として、素材、電気機械、輸送用機械などの製造業が集積し、高度経済成長を牽引しました。その後も、人口が拡大する中で、サービス業主導へと産業構造の転換が進みました。そして現在は、先端的な研究開発拠点を目指した取組みが進んでいます。横浜みなとみらい21地区や、「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」をはじめとする国家戦略特区では、学術・研究機関の誘致・集積が進みつつあり、官民一体となった先進産業の育成が着実に進展しています。こうした中、神奈川県は、研究開発に従事する人口が全国最多となっています。

このように、首都近郊の玄関口であることを生かし、環境変化を果敢に先取りして発展してきたのが当地経済の強みですが、バラエティに富んだ観光資源を豊富に有しているという強みもあります。神奈川県には、都市型観光地の「横浜」、歴史と文化の「小田原・鎌倉」、マリンスポーツの「湘南・江の島」、日本屈指の温泉地「箱根」、山岳景勝地の「丹沢」があります。これに加え、再来年にかけてラグビー・ワールドカップや東京五輪・パラリンピックといった国際スポーツ・イベントの開催も予定されています。国内外への積極的な情報発信を通じて、インバウンドを含めた観光客の更なる増加や国際会議等の誘致・開催に向けた取組みの広がりが期待されます。

こうした多くの強みを有する当地の景気は、世界経済の成長を背景に、輸出と設備投資が増加しているほか、個人消費も、雇用・所得環境が着実に改善するもとで持ち直しています。企業業績は3年連続の増収・増益が見込まれており、景況感も改善基調にあるなど、神奈川県経済は、全体として緩やかに拡大していると判断しています。当地では、世界経済の成長の恩恵を受けている輸出関連企業が少なくないほか、都市・臨海部における再開発プロジェクト、圏央道や羽田空港周辺を中心とした物流拠点や観光客の増加を見込んだホテルの建設など、県内各地で大型投資が活発に行われており、これらがインフラ関連の公共投資の増加とも相俟って、県経済の緩やかな拡大を支えているとみています。

現在、グローバル化、人口減少・高齢化、電子商取引の拡大、ビッグデータに基づいた事業戦略立案や人工知能の普及など、経済を巡る環境が急速に変化しています。そうした中にあっても、当地は、開港以来培われた環境変化に対する「先見性」、「柔軟性」、「適応力」を最大限に生かし、新しい環境に果敢に挑戦していくと期待されます。日本銀行としても、横浜支店を中心に、神奈川県経済の持続的な成長に向けた取組みに対し、少しでも貢献できるよう努めて参りたいと考えています。

ご清聴ありがとうございました。