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【挨拶】わが国の経済・物価情勢と金融政策和歌山県金融経済懇談会における挨拶要旨

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日本銀行政策委員会審議委員 鈴木 人司
2018年2月8日

1.はじめに

日本銀行の鈴木でございます。本日は、和歌山県の金融・経済界を代表する皆様方にお集まり頂き、誠にありがとうございます。皆様には、日頃より日本銀行大阪支店の様々な業務運営に多大なご協力を頂いており、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

本日の懇談会では、まず私から経済・物価情勢と日本銀行の金融政策についてご説明させて頂いたうえで、和歌山県経済についても触れさせて頂きたいと思います。その後、皆様方から、当地の実情に則したお話や日本銀行の政策運営に対するご意見などを承りたく存じます。

2.最近の経済・物価情勢

海外経済

まず、海外経済についてですが、グローバルな製造業の業況感が改善傾向を一段と強めている中で、総じてみれば緩やかな成長が続いています。米国経済は、雇用・所得環境の着実な改善を背景として、家計支出を中心にしっかりとした回復を続けております。個人消費、住宅投資は、こうした良好な雇用・所得環境などに支えられて緩やかな増加基調にあり、先行きも、国内民間需要を中心にしっかりとした成長が続くものとみられます。欧州においても、個人消費は労働市場や消費者コンフィデンスの改善などに支えられて増加基調にあり、企業の生産活動も堅調に推移している中で、全体として着実な回復を続けています。先行き、英国のEU離脱交渉の展開をはじめとする政治情勢などの不透明感が経済活動の重石となりますが、緩やかな回復を続ける可能性が高いとみられます。中国経済は、輸出が基調として増加している中で、当局による景気下支え策の効果もあって、総じて安定した成長を続けています。先行きも、当局が財政・金融政策を機動的に運営するもとで、概ね安定した成長経路をたどるものとみています。その他の新興国・資源国経済については、輸出の増加や各国の景気刺激策の効果などから、全体として緩やかに回復しており、先行きも先進国の着実な成長の波及や景気刺激策の効果などによって、成長率は徐々に高まっていくことが予想されます。

IMFによる世界経済の成長率の見通しによれば、2018年は、2017年のプラス3.7%を上回るプラス3.9%の成長が見込まれており、世界的な株高の状況とも相俟って、各国の財政・金融政策や構造改革の動向次第では、経済が上振れる可能性もあると考えられます(図表1)。もっとも、経済への下振れ方向のリスク要因として、米国の経済政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学リスクなどには留意が必要です。また、米国ではハイイールド債のスプレッドがリーマン・ショック直前の水準近くまで低下してきているほか、上昇傾向を続けてきた株価が2月入り後にはリーマン・ショックの際を超える下落幅を記録するなどの動きがみられていることや、米欧の金融政策正常化に向けた動きの中での米国長期金利や新興国・資源国のマネーの動向といった点も注視していくことが重要と考えています。さらに、足もと上昇を続けている原油などの資源価格の動向についても、行き過ぎた上昇はかえって企業の原材料費のコスト高を招く一方、急激な下落があれば市場の混乱を招く惧れもあり、先行きのリスク要因と考えられます(図表2)。

国内経済の現状と先行き

次に、わが国の経済についてですが、わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大しています。昨年7~9月の実質GDP成長率は、企業の輸出や設備投資の動向を映じて前期比年率換算でプラス2.5%となり、7四半期連続のプラス成長を続けています(図表3)。これは、「0%台後半」とみられるわが国の潜在成長率を上回る水準です。こうした背景には、海外経済の成長を背景に実質輸出が増加基調にあるほか、企業収益や業況感が改善する中で、設備投資も増加傾向を続けていることが挙げられます(図表4、5)。個人消費も、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも緩やかに増加しています。日本銀行が1月に公表した「地域経済報告」、いわゆる「さくらレポート」では、全国9地域のうち近畿を含む6地域で景気の総括判断を「拡大している」、「緩やかに拡大している」としております。特に、当地経済を含む近畿地域については、輸出の増勢の強まりや個人消費の改善を踏まえ、景気判断が引き上げられており、これは昨年7月、10月に続き3期連続の引き上げとなります(図表6)。

また、景気の拡大とともに、労働需給は着実に引き締まってきており、短観の雇用人員判断DIでみた企業の人手不足感は幅広い業種で高まってきているほか、失業率も、足もとは2%台後半の水準が続いています。有効求人倍率は1974年以来の高水準にあり、正社員の有効求人倍率も過去最高を記録しています(図表7)。こうした状況を踏まえ、幅広い業種において、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用等に向けた省力化投資が積極化しています。AIやRPAの活用が進められた場合に、雇用が奪われて労働需給が緩むことを懸念する見方もありますが、先行き人口の減少が見込まれるわが国の場合、足もとは増加を続けている労働力人口に関しても長期的に見ればピークを迎える可能性があり、イノベーションによる新たな商品・サービスの供給に伴う新規雇用や「働き方改革」の推進に伴う労働時間の減少を補うための新規雇用なども必要と考えられますので、労働需給は引き締まる可能性も十分にあると考えています。

先行きのわが国経済については、緩やかな拡大を続けるとみられます。2018年度までの期間でみれば、国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府の既往の経済対策による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられます。企業の成長期待の高まりやオリンピック関連投資の本格化、人手不足に対応した省力化投資の増加など、設備投資は増加を続けると予想されます。また、個人消費も、雇用・所得環境の改善が続くもとで、緩やかな増加基調をたどるとみられるほか、海外経済の成長を背景に、輸出も基調として緩やかな増加を続けると考えられます。2019年度については、資本ストックの積み上がりやオリンピック関連需要の一巡などから設備投資の減速が見込まれるほか、下期には消費税率引き上げの影響から家計支出の減少も予想されますが、外需による輸出の増加にも支えられ、景気拡大が続くと考えています。具体的に、日本銀行が1月に発表した展望レポートにおける政策委員の成長率見通しの中央値では、2017年度はプラス1.9%、2018年度はプラス1.4%、2019年度はプラス0.7%となっています(図表8)。

物価の現状と先行き

続いて、物価情勢をみますと、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、足もと、プラス0.9%と、昨年1月にプラスに転化して以降、少しずつではありますが改善基調を保っており、この1年間では1%ポイント以上上昇してきています(図表9)。

先行きを展望するうえでのポイントは、3点あると考えています。まず、先行きの物価上昇率を規定する要因として、マクロ的な需給ギャップをみますと、労働需給の着実な引き締まりや資本稼働率の上昇を背景に、着実にプラス幅を拡大しています(図表10)。こうした中で、企業の賃上げや値上げに向けた動きがみられてきており、物価上昇への圧力は着実に高まってきています。例えば、医療・介護関連業種では、大手企業の参入に伴い求人が増加する中で、人手不足感が一段と強まるなど、幅広い業種で労働需給のタイト感が増してきており、特にパート労働者の時給が上昇してきています。そうした中で、外食や運輸などのサービス業では、人手不足に伴う人件費の増加分を価格に転嫁する形で、昨年後半以降、値上げに踏み切る企業もみられてきています。

2点目として、中長期的な予想物価上昇率は、2015年夏以降、弱含みの局面が続いていましたが、最近は横ばい圏内で推移しています(図表11)。今後、マクロ的な需給ギャップが改善していく中で、先程申し上げたような企業の賃金・価格設定スタンスも次第に積極化し、現実の物価上昇率が押し上げられていくもとで、「適合的な期待形成」を通じて予想物価上昇率も上昇していくことが見込まれます。加えて、日本銀行が「物価安定の目標」の実現に強くコミットし金融緩和を推進していくことに伴い「フォワードルッキングな期待形成」も働くことで、中長期的な予想物価上昇率が引き上げられることが考えられます。

3点目は、輸入物価ですが、2016年春以降の原油価格の持ち直しによる影響は緩やかに減衰すると予想される一方、2016年秋以降の為替相場の円安方向への動きが、当面は価格上昇圧力を高める方向に作用すると考えられます。

このように、「物価安定の目標」に向けては、足どりはゆっくりとしたものかも知れませんが、ここまでのところ着実に歩を進めているものと考えており、今後より加速していくための環境は整いつつあるとみています。したがって、生鮮食品を除く消費者物価の前年比については、先行きもプラス幅の拡大基調が続くと考えられ、2019年度頃にはプラス2%程度に達する可能性が高いとみています。具体的な数値で申し上げると、1月の展望レポートにおける政策委員見通しの中央値は、2017年度にプラス0.8%、2018年度にプラス1.4%、2019年度には消費税率引き上げによる直接的な影響を除いたベースでプラス1.8%となっています(図表8)。

もっとも、留意点についても触れますと、今後、「物価安定の目標」に向けて消費者物価の前年比がその上昇率をより高めていくためには、生鮮食品・エネルギーを除く消費者物価の動きが重要となりますが、人手不足や原材料費の上昇といった部分を企業が財やサービスの価格に反映する動きが拡がっていくには、今しばらく時間がかかる可能性もありますので、こうした動向については、今後も注視していきたいと考えています。

3.金融政策運営

「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」について

次に、金融政策についてお話しします。日本銀行は、2013年4月に、それまで15年間にわたり続いてきたデフレを克服すべく、「量的・質的金融緩和」を導入し、金融緩和の力をさらに強化する観点から、2016年9月には「オーバーシュート型コミットメント」と「長短金利操作」、いわゆる「イールドカーブ・コントロール」を採り入れた「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という新たな枠組みを導入しました。

こうした新たな金融緩和の枠組みの特徴は2点あります。第1に、「量的・質的金融緩和」が、主として実質金利低下の効果により経済・物価にプラスの影響をもたらした中で、この実質金利低下の効果を長短金利の操作により追求する「イールドカーブ・コントロール」を採り入れることで、2%の「物価安定の目標」に照らして最適と考えられるイールドカーブの形成を促すという点です。理論的には、名目金利から予想物価上昇率を差し引いた値である現実の実質金利を、景気を加速も減速もさせない中立的な状態を実現する実質金利である自然利子率よりも下げていくことを企図しています。現実の実質金利が自然利子率よりも低ければ、その分経済活動が刺激されて景気が加速し、需給ギャップが改善することで、物価上昇圧力を生むというのが基本的なメカニズムです。

第2に、現実の実質金利を下げるもう一つの方法として、人々の期待に働きかけ、予想物価上昇率を高めるという観点も重要です。そこで、日本銀行が「消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」という強力なコミットメントを行うことで、予想物価上昇率を押し上げ、金融緩和の効果をさらに確かなものにすることを企図しています。これを「オーバーシュート型コミットメント」と呼んでいます。

金融緩和の効果について

こうした「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入以降、生鮮食品を除く消費者物価上昇率は2016年9月にマイナス0.5%であったのに対し、足もとはプラス0.9%まで1.5%ポイント近く上昇してきており、長短金利の水準もこれまでのところ日本銀行の金融市場調節方針と整合的な水準に維持されています。国債買入れの金額については、その時々の市場環境に応じて幅をもって変動し得るという柔軟性も持ち合わせていますので、政策の持続性という観点からも強化が図られたといえます。また、予想物価上昇率という観点では、日本銀行が昨年12月に実施し、1月に公表した「生活意識に関するアンケート調査」(第72回)の結果をみると、「1年後」および「5年後」に「物価が上がる」と答えた回答者の割合が前回調査である昨年9月時点よりも増加するなど、人々の物価上昇に対する期待にも影響が出つつあることを窺わせる内容となっています(図表12)。

この点、物価上昇率自体に関しては、この間に上昇してきたとはいえ、「物価安定の目標」にはなお途半ばの状況にあります。もっとも、わが国の景気拡大はしっかりと継続されており、原油などの資源価格の上昇を受けた企業間取引における財の価格上昇、労働需給の引き締まり、政府による企業の生産性向上や賃上げに向けた様々な取り組みなどから、今後一層の上昇に向かう環境は整いつつあるとみられますので、「物価安定の目標」に向けたモメンタムは引き続き維持されているものと考えます。こうしたことから、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、強力な金融緩和を息長く継続していくことが重要であると考えています。

今後の金融政策運営に向けて

ここまで申し上げてきた金融政策の目的とその効果を踏まえた上で、今後の留意点について、2点お話ししたいと思います。まず、足もと、物価がなかなか上がらないという状況が続いているわけではありますが、一方で、実質GDPは7四半期連続でプラス成長を続け、財務省の法人企業統計調査における企業の経常利益も過去最高水準に達し、2016年度の企業の内部留保は過去最高の約406兆円に上りました(図表13)。もっとも、企業収益対比でみた設備投資や人件費の比率は過去に比べ低い水準に止まっており、今後は、こうした企業の手許資金から、将来への設備投資や研究開発、労働者への給与などに資金が動いていくことが、賃金や物価を動かしていくことにもつながると考えております(図表14)。このことは、個人に関しても同様です。将来の年金受給や医療費負担などへの不安から、貯蓄を図る個人も多いのが実情であり、さらに、足もとの株高の中で株式を売却した資金が銀行預金に積み上がっているとの話も聞きます。これらの資金が、雇用・所得環境が改善するもとで消費へ向かえば、企業収益を一層押し上げ、経済の好循環が生じることとなります。こうした状況に対し、政府も、「生産性革命」や「人づくり革命」を柱とする「新しい経済政策パッケージ」を昨年12月8日に閣議決定し、賃上げ企業に対する税制面での優遇措置などを含む、各種の施策を打ち出しています。このような政府の取り組みは、日本銀行が進める金融緩和と相俟って、申し上げたような前向きの循環メカニズムがしっかりと働く経済を実現するうえで、重要な役割を果たしていくと考えています。

第2に、先程申し上げたとおり、2016年9月の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入から1年半近くが経過しましたが、この間の長短金利の水準は、日本銀行の金融市場調節方針と整合的な水準にコントロールされております。この点、過去のブラック・マンデーやリーマン・ショックなどの際における私の市場実務の経験に照らしますと、「市場は生き物」であり、足もとの大規模な金融緩和が、経済・物価・金融情勢の中で及ぼしている影響については、引き続き注視していくことが必要であると考えています。特に着目しているのは、金融機関における保有有価証券利回りや貸出金利、企業の社債金利とこれを通じた企業と投資家との間の資金フロー、保険・年金の資産運用などへの影響です。低金利のもとで、企業側にとっては資金を調達し易い状況である中、金融機関の貸出スタンスも積極的であり、実際に銀行貸出残高は増加を続けています(図表15)。一方で、銀行間競争の激化による一層の貸出金利の低下や、金融機関が保有する有価証券利回りの低下から、金融機関の収益が圧迫されている面もあります。少なくとも現状においては、わが国の金融機関は全体として資本、流動性の両面で強いストレス耐性を備えており、金融システムの安定性も維持されているものと考えていますが、金融政策が金融システムや金融機関の金融仲介機能にどのような影響を与えるかについては、大規模な金融緩和が続くことに伴う累積的な影響も含めて、丁寧にみていく必要があると考えています。そして、イールドカーブの適切な形成を促すにあたっては、2016年9月の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入の際にも示されておりますとおり、経済・物価・金融情勢を踏まえて判断していくことが適切と考えております。

4.おわりに ―― 和歌山県経済について ――

最後に、和歌山県の経済についてお話ししたいと思います。

和歌山県は、鉄鋼、石油、化学、一般機械、食品といった「ものづくり産業」が盛んです。鉱工業生産指数をみますと、全国を上回る水準が続いており、県内製造業における付加価値額のウエイトとしては、はん用・生産用・業務用機械工業、化学工業、鉄鋼業で全体の約7割を占めています。また、醤油、丸編みニット、梅干しなどの地場産業も数多く存在します。こうしたもとで、足もとの失業率は2%を下回り、近畿圏や全国の水準を下回っています。当地の特徴として、和歌山市を中心とする北部では、製鉄所や製油所をはじめとする重化学工業が展開している一方、中部では梅や蜜柑などの農作物の生産で全国的に有名であり、さらに南部には南紀白浜や世界遺産である「紀伊山地の霊場と参詣道」などの観光地があります。観光面で申し上げれば、1月に政府が発表した昨年の訪日外国人旅行者数は、過去最多を更新し、政府が目標とする「2020年における4千万人」へと一段と近付いてきている中で、この和歌山県内も、2016年の外国人宿泊客数は約50万人と、前年に記録した過去最多の数字からさらに2割程度増加しています。こうした背景には、CNNなどの世界的メディアとの共同キャンペーンをはじめとする継続的な取り組みに加え、LCC 航空路線の拡大、「水の国、わかやま。」をキーワードに世界遺産のブランドを活用した各種のキャンペーン等が奏功しているものと考えております。昨年も、「熊野那智大社御創建1700年」、「西国三十三所草創1300年」をはじめとする周年行事などのイベントが数多く行われ、多くの観光客が訪れております。外国人観光客によるインバウンド消費の増加も含め、県内経済の一層の活力を生み出す要素となるのではないかと思います。

このように、南北で様々な表情を持つ地域というのは、全国でも珍しいと思います。現在進められている「有田~南紀田辺」間の車線拡幅や京奈和自動車道の整備が進展することで、今後、南北の交通もさらに利便性を増すことが期待されます。人口や労働力の減少とそれに伴う人手不足、企業の後継者問題などの課題もありますが、昨年、県では「長期総合計画―世界とつながる愛着ある元気な和歌山―」を策定され、人材育成・雇用・防災・福祉・地域ネットワークなどの各分野について、先行き10年間を見据えた長期計画を立てられています。こうした方針のもと、AIなどの新技術も採り入れながら、産業界・金融界・行政の連携による取り組みが進められていくことは大変重要なことであると考えております。

この和歌山からは、これまでに各分野の著名人が輩出してきております。昨年は「南方熊楠翁生誕150周年」にあたり、様々な記念企画も開催されていますが、さらに時代を遡りますと、徳川御三家の一つとして、将軍を輩出した地でもあり、その将軍の一人に紀州藩第5代藩主・徳川吉宗公がいます。同将軍は、先例にとらわれることなく、大胆に享保の改革を進めた人物であり、また、目安箱を設けて様々な意見にも耳を傾けたことでも有名です。こうした課題解決に向けた姿勢は、250年以上の時を隔てた今日においても、学ぶべきところが少なくないように思います。

今後も、皆様の幅広い取り組みが奏効し、和歌山県経済が一層の発展を遂げられていくことを祈念いたします。ご清聴ありがとうございました。