気候変動に関する中央銀行のコミュニケーション
2022年6月2日
日本銀行
連邦準備制度理事会は、「気候変動に関する中央銀行のコミュニケーション」と題するスタッフワーキングペーパー(執筆者は、デービッド・M・アルセノー*1、アレハンドロ・ドレクスラー*2、長田充弘*3)を公表しました。
全文掲載は、英語のみとなっております。
- 全文(原文)<連邦準備制度理事会ウェブサイトにリンク>
要旨
本稿では、中央銀行が気候変動に関してどのような情報発信を行っているかについて理解を深めるため、中央銀行スピーチの大規模データセットから自然言語処理の手法を用いて抽出した「気候変動関連スピーチ」を分析した。
本稿の分析によると、中央銀行による気候変動に関する情報発信は、近年、急速に増加しているほか、気候変動関連スピーチの内容をみると、気候変動が経済に及ぼす影響についてだけでなく、金融イノベーションやサステナブルファイナンス、金融政策や中央銀行責務との関係など、議論が多岐に渡ることが示された。気候変動が金融システム安定に及ぼすリスクについては、当該リスクへの懸念が表明されることが多いが、マクロプルーデンス政策を用いた対応について論じられることは稀であり、具体的な手段として、金融システムにおける潜在的なリスクを特定してモニタリングするといった分析面での対応が挙げられることが多い。最後に、本稿は、中央銀行が気候変動について情報発信する際、他のトピックと比べて非断定的な表現を使いがちであることを見出した。
- *1連邦準備制度理事会金融安定局 E-mail : david.m.arseneau@frb.gov
- *2シカゴ連邦準備銀行経済調査局 E-mail : alejandro.h.drexler@chi.frb.org
- *3日本銀行総務人事局 / 連邦準備制度理事会金融安定局
E-mail : mitsuhiro.osada@boj.or.jp / mitsuhiro.osada@frb.gov