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日本銀行におけるダイバーシティの推進に向けて

日本銀行総裁 植田和男

植田総裁の写真

国際情勢の変化や飛躍的な情報技術革新など、日本経済を取り巻く環境は急速に変化しています。このように変化が激しく将来予測が難しい時代において、イノベーションや事業の変革を促進し、経済全体の持続的成長を確保していくためには、多様性が尊重される社会の実現が不可欠です。また、ジェンダー間の格差をはじめとする様々な不均衡をなくすことが、人権の観点から非常に重要な課題であることは、国際社会の共通認識です。

日本銀行も、わが国の中央銀行として、その責務を果たしていくため、性別、年齢、人種、宗教、信条、性的指向・ジェンダーアイデンティティ等に関わりなく、全ての職員が個人として尊重され、それぞれがもてる力を最大限発揮できる組織を作り上げていくことが必要と考えています。こうした認識のもと、日本銀行では、ダイバーシティの推進を重要な経営課題の1つと位置付けています。

たとえば、職員が、結婚、出産・育児、介護や病気など、様々な「ライフイベント」に直面したときにも、安心して自らの目標に挑戦し続けることができるよう、日本銀行では、柔軟な働き方を可能とする制度の構築や、職員の意識啓発を進めてきました。

こうした取組みのもとで、日本銀行は、女性活躍推進に積極的な企業として「えるぼし(第3段階)」、次世代育成支援に積極的な企業として「プラチナくるみん」を取得しています。女性の管理職比率は着実に上昇しているほか、女性職員はもとより、男性職員についても、育児休業取得率がほぼ100%に達しています。また、多くの職員が、フレックスタイムや在宅勤務などの制度を活用し、仕事を効率的に進めています。

このほか、障がい者雇用にも積極的に取り組んでおり、障がいをもつ職員が、本支店の様々な職場で力を発揮しています。また、近年、様々な経験や専門的なスキルをもつ職員の経験者採用にも力を入れています。日本銀行の政策・業務・組織運営に関わる様々な仕事において、こうした多様なバックグラウンドをもつ職員が活躍してくれています。

これからも日本銀行は、ダイバーシティの推進を通じて、職員一人ひとりの力が十分に発揮されるような組織づくりを行っていきます。こうした取組みを通じて、日本銀行全体としての力をさらに高め、中央銀行としての責務を適確に果たしていきたいと考えています。